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胆嚢ポリープ手術と生涯現役への決断

「日々全国を飛び回るために」選んだ、胆嚢摘出という選択

第一産業の代表取締役社長である阿部孝博の写真

日々飛び回るために選んだ手術

日々全国を飛び回って新規開拓営業を継続するため、そして生涯現役を貫くために勇気を振り絞って手術を受けました。

2024年12月、長期出張から帰ると健康診断結果が届いていました。胆嚢ポリープ拡大傾向でその大きさ10mmを超えたと。エコー検査で以前から胆嚢にポリープあることは把握しており、定期的なエコー検査で、拡大しないか経過観察との判断でした。ここ2年連続で拡大傾向の指摘。今回は去年よりさらに拡大傾向にあるとの指摘です。

二人の開業医の見解と自分の違和感

その後、近隣のクリニックで2軒で見解を聞きました。1軒目は、形状的に有茎性のポリープで、コレステロール性のポリープと思われるので様子見で良いと思いますよ。でも、それは、あくまでもエコー検査で判別する形状からの推測。10年以上前から、胆嚢ポリープは指摘され続け、2年連続の拡大傾向のアラート。様子見でいいのか、悩みました。

でも悩んでも解決しません。もう1軒、クリニックにエコー検査してもらっての意見交換。「確かに以前より大きくなってますねぇ。形状的にはコレステロール性のポリープの可能性が高いですが、有茎性というようも、ラグビーボールを横にしたような形状ですね。気になるようでしたら、取っちゃったほうがいいと思いますよ」。結構、軽く言われました。

様子見するリスクと、手術によって背負うQOL(クオリティ・オブ・ライフ)低下リスクについて相談したら、「胆石由来の胆嚢炎で、胆嚢摘出している人はたくさんいますよ。そんなにリスクのある手術じゃありません」。そう説明されました。

55歳の自分が選んだもの

ネットで調べると、腹腔鏡下胆嚢摘出術等、年間6万件。10年間で60万件。日本人の20人に1名は、10年間に受ける手術。悪性腫瘍の可能性の低いポリープで入院手術、大半の人は受けないと思います。胆石由来の胆嚢炎の場合、激痛により、緊急手術となることが多く、大多数は、この胆石由来の胆嚢炎によるものと思われます。

それでも私が手術を選択する理由は、形状による医師の見解は、あくまで推定によるもので、医師にとって患者は他人、もし悪性であったとしても医師本人には何の影響もありません。最近の高齢化社会では、開業医は、高齢者の残り少ない人生を如何に穏やかに生きてもらうかが、思考の中心になります。そのような高齢者に寄り添う姿勢が、高齢者に好まれます。

もともと残り少ない人生に、手術の苦痛と、ゼロではない手術リスクを負担させるのが妥当かどうかとの思考を日々していると思います。でも、私の場合、年齢はまだ55歳。あと20年は、現役で仕事をする意思があります。そのポリープが悪性だったとしても、胆嚢内にとどまってくれるのなら放置して、後で摘出すればいい。でも、他に転移してしまったら、どうなるのか。

先日亡くなった森永卓郎さんの事例もあります。転移した癌は制御するのが困難だと聞きます。可能性が少しでもあれば、そのリスクを除去しておこう。多少の痛みと、リスクがあっても、そのリスクが、転移して制御不能になるリスクよりもはるかに小さいのであれば。そんな思考をしました。

全身麻酔という「境目」への恐怖

胆嚢切除は全身麻酔をするため、過剰ではと思われる術前検査。CT、MRI、内視鏡エコー、胃カメラ、大腸内視鏡、24時間心電図、手術を決断してから、手術まで4か月。全身麻酔手術を、少し深く眠っている間の手術程度に思っていた私からすると過剰検査と感じましたが、よくよく全身麻酔の説明を受けると、麻酔深度の水準が全然異なります。

全身麻酔により肺呼吸が止まるので、人工呼吸器で酸素を供給する。その説明を受けた際、衝撃でした。自身の肺で呼吸ができなくなる状態。生まれてから今まで、そんな経験はないはずです。この世とあの世の境目に身を置き手術を受ける。ビビりました。帰ってこれなくなることはないのだろうか。

医師はリスクがゼロでない限り、リスクのあることを説明して、同意書サインすることを求めてきます。同意書にサインしなければ、手術は受けられません。サインすることは、そのリスクを受け入れる意思表示。全身麻酔にもリスクはある。胆嚢摘出術も困難な状況になった場合、開腹手術に変更されることもある。考えられるリスクを一通り説明を受け、次回までにサインをしてくるように依頼されます。覚悟を決めるしかありません。

飛行機に乗るのも、自動車を運転するのもリスク。タバコを吸うのも、カップラーメンを食べるのも、揚げ物を頻繁に食べるのもリスクです。そこから、YouTubeで関連動画を見まくりました。今の時代これがあるから、良いですね。YouTubeを、セカンドオピニオン的に活用。自身の背中を押すことができました。

手術当日の体験

入院日が決定して、入院、その翌日手術。入院当日の夕食までは食べて、その後下剤を飲み、翌日に下剤浣腸。腸内をきれいにしてから、いざ手術室へ。看護師に導かれ歩いて、オペ室へ。病院には、オペ室が10室あり、全室稼動中とのことです。

手術台の上に仰向けに寝ると背中が熱い。患者の体が冷えないように温める仕様のようです。

「背中熱いんですね」「熱いですか、少し温度下げますか」「そうですね。少し下げてもらえますか」「ではそうしましょう」。そんな会話をしていると、左腕に点滴がセットされ、麻酔薬が投入され、間もなく記憶がない状態に。

「終わりましたよ」と、耳元で医師に声を掛けられ、意識が戻ります。まだ麻酔が効いているので、はっきりとした記憶はないのですが、いつの間にか、手術台から病室のベッドに乗せ換えられ、病室へと移動。仰向けに寝て、エレベータに乗って移動した記憶は残っています。

午前10時半にオペ室に移動して、オペ後、病室に戻って、家族にLINEを送信したのが13時半。3時間なのですが、家族にオペ終了の電話連絡があったのは、その1時間前くらいのようです。意外と短時間だったのですね。

術後の違和感と入院生活

人工呼吸器の挿管摩擦による喉の違和感。咳ばらいをしたいが、咳払いは腹部に負荷を与えるようで、傷口に激痛。咳払いはできません。看護師に、のど飴ありますかと問いかけると、「明日の朝までは水も飲んではいけない医師からの指示だ」と。では、うがいしますかと提案され、首も上げられない状態で、寝たままうがい。仰向けに寝て、首を少し上げるにも、腹部に負荷があるのですね。

意識はあるのですが、身体を動かせない。しばらくは、携帯でポッドキャスト、YouTubeを聞いて過ごしました。でも、バッテリーが減っていきます。バッテリーが減っても充電器まで手が届かない。結局、何とか立ち上がれるようになる、翌日昼まで、スマホの利用も最小限。

術後は1日で、0.5Lの補水点滴4本。何度も排尿をうながされますが、尿意が生まれない。結局最初の排尿は、術後12時間以上経過後の深夜でした。尿意があってもなかなか出ない。寝たままの姿勢では出にくいのですね。

腹に力が入らないので、それが原因かと思ったのですが、翌日、やっとのことで歩けるようになって、トイレでの出やすさと比較してわかりました。姿勢によって出にくく、看護師にも心配させてしまいました。

通常、全身麻酔の際は、麻酔中に尿管を挿入して、その状態で動けるようになるまで、尿管経由で排尿するようなのですが、今回は、執刀医の判断で、尿管挿入不要と判断したようです。

退院までの流れと回復

翌日の朝、水分摂取可能。昼からおかゆ食開始。午後から歩行リハビリ開始。術後、翌々日朝、術中に残した管を抜いて、その後は傷口の観察のみ。その翌日退院。4泊5日の入院でした。

退院時も、重いものを持ったり、走ったり、大きな咳ばらいをしたりはできません。でも、それも数日だと思います。初めての経験で、術前まではドキドキ緊張状態でしたが、終わってみると、呆気ないものです。

世の中、そのようなことが多いと思います。リスクが少なければ、そのリスクと引き換えに得られるものが大きければ、恐れずに行動すべき。私にとって得られるものは、ポリープが運悪く悪性だった場合の転移懸念除去でした。

病理結果と「自分で決める」ことの大切さ

2週間後、病理検査の結果、癌化する前段階の腺腫。放置したら癌化した可能性が高いとのことでした。最初の開業医の見解、「有茎性ポリープと思われるので様子見でいいんじゃないですか」。その見解を受け入れていたら。。。医者にとって患者の命は他人事。自分の身体、健康は自分で判断する必要があります。

今は、いろんな手段で病気のことをしらべることができます。現実から目を背けずに納得行くまで調べまくる。それで不安があれば、手術のリスクと放置するリスクを比較して自分で判断。学びました。エコー検査と内視鏡検査、費用は掛かりますが、40歳を過ぎたら定期的に受ける必要があると思います。

最後に ― さらに新規開拓へ

これで、モヤモヤが一つなくなったので、更に仕事に、ビジネスに新規開拓営業に突進し続けることができます。皆様に何かの参考になればと思います。

代表取締役社長 阿部孝博